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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

百人一首5『奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき』現代語訳と解説(係り結び・品詞分解)

著者名: 走るメロス
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百人一首(5)猿丸大夫/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

奥山に もみぢ踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき


このテキストでは、(小倉)百人一首に収録されている歌「奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」の現代語訳・口語訳と解説(係り結び、句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、古今和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)奥山に もみぢ踏み分け 鳴く鹿の 声聞く(2※)ぞ 秋は悲しき


ひらがなでの読み方

おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき



現代語訳

人里離れた奥深い山で紅葉を踏み分けて鳴いている鹿の声を聞くときこそ、秋は悲しい(と感じられることだよ。)


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、三十六歌仙の一人猿丸大夫(さるまる の たいふ / さるまるだゆう)です。古今和歌集では詠み人しらずとなっています。猿丸大夫について、正確なことはわかっていません。

二句目の「もみぢ踏み分け」の主語を「鹿」とする説と、「作者」とする説があります。秋になると雄鹿が雌鹿を求めて鳴くと言われていることから、「鹿」を主語と解釈するのが一般的です。このテキストでもそのように解釈しています。主語は鹿ですが、雄鹿が雌鹿を求めて鳴く姿を、恋い慕う女性(妻や恋人など)を思う作者自身に重ねているようにも思えます。


主な技法・単語・文法解説

単語

(※1)奥山人里離れた奥深い山



(※2)係り結び

~ぞ秋は悲しき「ぞ」(強意の係助詞)⇒「悲しき」(シク活用の形容詞「かなし」の連体形)が係り結び。



句切れ

句切れなし。


品詞分解

※名詞は省略しています。



奥山
格助詞
もみぢ
踏み分けカ行下二段活用「ふみわく」の連用形
鳴くカ行四段活用「なく」の連体形
鹿
格助詞
聞くカ行四段活用「きく」の連体形
とき
強意の係助詞・係り結び
係助詞
悲しきシク活用の形容詞「かなし」の連体形・係り結び



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂

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