はなやかなり/花やかなり/華やかなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
はなやかなり/花やかなり/華やかなり」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | はなやかなら | ◯ |
連用形 | はなやかなり | はなやかに |
終止形 | はなやかなり | ◯ |
連体形 | はなやかなる | ◯ |
已然形 | はなやかなれ | ◯ |
命令形 | はなやかなれ | ◯ |
■意味1
明るく美しい。
[出典]:
須磨 源氏物語
「月のいと
はなやかにさし出でたるに、今宵は十五夜なりけりと思し出でて...」
[訳]:月がたいそう
明るく美しく出てきたので、今夜は十五夜であったなあとお思い出しになって...
■意味2
綺麗だ、きらびやかだ。
[出典]:
刑部卿敦兼と北の方 古今著聞集
「その北の方は
はなやかなる人なりけるが、五節を見侍りけるに...」
[訳]:その(刑部卿の)婦人は
綺麗な人でしたが、五節(での舞)をご覧になったときに...
■意味3
栄えている、時めいている。
[出典]:
桐壷 源氏物語
「父の大納言は亡くなりて、母北の方なむ古の人の由あるにて、親うち具し、さしあたりて世のおぼえ
華やかなる御方々にもいたう劣らず...」
[訳]:(女性の)父である大納言は亡くなっており、母親である(大納言の)奥方は、昔風の人で由緒ある家柄の方であって、両親がそろっていて、今のところ世間の評判が
時めいている方々にもたいして見劣りすることなく...
■意味4
陽気である、晴れやかである。
[出典]:少女 源氏物語
「上人の心地も常よりもはなやかに思ふべかめる年なれば...」
[訳]:(昨年は五節が行われなかったことも相まって)殿上人の気持ちも例年よりも晴れやかに思えるような年なので...
■意味5
(雰囲気が)
にぎやかである。
[出典]:折節の 徒然草
「大路のさま、松立てわたして、はなやかにうれしげなるこそ、またあはれなれ。」
[訳]:通りの様子は、門松を立てて並べて、にぎやかで喜ばしい感じなのは、また趣深いものである。
■意味6
際立っている、はっきりとしている。
[出典]:頭の中将の 枕草子
「『なにがしさぶらふ』と、いとはなやかにいふ。」
[訳]:「某さんはいますか。」とたいそうはっきりと言う。