きはむ/極む/窮む/究む
このテキストでは、マ行下二段活用の動詞「
きはむ/極む/窮む/究む」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
マ行下二段活用
未然形 | きはめ |
連用形 | きはめ |
終止形 | きはむ |
連体形 | きはむる |
已然形 | きはむれ |
命令形 | きはめよ |
■意味1:他動詞
極める、限界にまで至らせる。
[出典]:
祇園精舎 平家物語
「遠くの異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の禄山、これらは皆、旧主先皇の政にも従はず、楽しみを
極め...」
[訳]:遠く外国(の例)を探すと、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の禄山、これらの者はみな、もとの主君や前の皇帝の政治にも従わず、享楽の
限りを尽くし...
■意味2:他動詞
終わらせる、尽くす。
[出典]:明石 源氏物語
「何ばかりの過ちにてかこの渚に命をばきはめむ。」
[訳]:どれ程の罪でこの(須磨の)渚で命を終わらせようとするのか。
■意味3:他動詞
決める、定める。
[出典]:去来抄 先師評
「先師をはじめいろいろと置き侍りて、この冠にきはめたまふ。」
[訳]:先師をはじめ(皆も)いろいろと(歌の上の5文字)置いてみまして、この冠にお決めになります。
■意味4:自動詞
限界にまで達する、最高になる。
[出典]:車の五緒は 徒然草
「程につけてきはむる官、位に至りぬれば乗るものなり。」
[訳]:(家の)格に応じた最高の官位に達すると乗るものです。