はじめに
ここでは、奥の細道の中の『最上川』の現代語訳と解説を行っています。
原文
最上川は、陸奥(みちのく)より出でて、山形を
水上とす。ごてん・はやぶさなど云おそろしき難所あり。板敷山の北を流て、果ては酒田の海に入る。左右山覆ひ、茂みの中に船を
下す。是に稲つみたるをや、いな船と
いふならし。白糸の瀧は青葉の隙々に落ちて、仙人堂、岸に臨て立つ。水みなぎつて舟あやうし。
現代語訳
最上川は、陸奥から流れ出て、山形を上流とする川です。碁点・隼などという恐ろしい難所がある。板敷山の北側を流れ、最後には酒田の海に入っていく。左右を山に覆われ、茂みの中に舟を(下流に)流す。この舟に稲を積んだものを、「いな舟」と呼ぶらしい。白糸の滝は青葉の間間に流れ落ちており、仙人堂は岸に臨んで立っている。水の勢いが強く、舟が危うくなることがあった。
降り続く五月雨を集めたようにすさまじく速く流れることだ、最上川よ
単語・解説
水上 | 上流 |
ならし | 断定の助動詞「なり」の連体形+推定の助動詞「らし」が「なるらし」となり変化したもの |
五月雨 | 「さみだれ」と読む。この句の季語。5月に降る雨ということで季語を「春」としがちだが、旧暦で5月は「夏」にあたることに注意 |