新規登録 ログイン

9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

枕草子『五月ばかりなどに(山里に歩く)』わかりやすい現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加
はじめに

このテキストでは、清少納言が書いた枕草子の一節「五月ばかりなどに」(五月ばかりなどに山里にありく、いとをかし〜)の原文、現代語訳・口語訳とその解説を記しています。



清少納言は平安時代中期の作家・歌人です。一条天皇の皇后であった中宮定子に仕えました。そして枕草子は、兼好法師の『徒然草』、鴨長明の『方丈記』と並んで「古典日本三大随筆」と言われています。

読む前に知っておきたいこと

この段では、牛車の乗って出かけたときに感じたことを述べてあります。"牛車に乗って出かけている"ここがポイントですので、イメージしておきましょう。

原文

五月ばかりなどに山里に(※1)ありく、いとをかし。草葉も水もいと青く見えわたりたるに、上はつれなくて草生ひ茂りたるを、ながながとたたざまに行けば、下は(※2)えならざりける水の、深くはあらねど、人などのあゆむに走り上がりたる、いとをかし。



左右にある垣にあるものの枝などの、車の屋形などにさし入るを、急ぎてとらへて折らむとするほどに、ふと過ぎてはづれたる(※3)こそ、いと口惜しけれ。蓬の、車に(※4)押しひしがれたりけるが、輪の回りたるに、近ううちかかりたるもをかし。

現代語訳(口語訳)

五月の頃などに山里を(牛車で)移動するのは、大変趣がある。草葉も水もたいへん青く一面に見えている中で、表面は何の変化もなくて草木が生い茂っているところを、長々とまっすぐに行くと、草木の下にはなんともいえないほどきれいな水があって、深くはないのだけれど、人などが歩くときに(水が)はね上がるのは、趣がある。



(道中で)左右の垣にある何かの枝が、牛車の屋形(人が乗っているところ)に入ってくるのを、急いでつかまえて折ろうとするうちに、さっと過ぎて(枝が手から)離れてしまったのは、たいそう残念である。蓮で、牛車に押しつぶされたものが、(牛車の)車輪がまわるにつれて、(窓の)近くに(押しつぶされた蓮があがってきて)掛かるのは趣があってよい。

品詞分解

品詞分解はこちら

枕草子『五月ばかりなどに』の品詞分解

単語・文法解説

(※1)ありく「歩く」などの意味もあるが、ここでは「行き来する/移動する」の意味で訳す
(※2)えならざり「えならず」の語尾の打消の助動詞「ず」が活用して連用形「ざり」となったもの。
(※3)こそ~けれ係り結びの法則。「こそ」には已然形がつく
(※4)(押し)ひしがれたりけるガ行四段活用「(押し)ひしぐ」の未然形+受身の助動詞「る」の連用形+完了の助動詞「たり」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 精選国語総合』 三省堂

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 134,005 pt 
 役に立った数 136 pt 
 う〜ん数 26 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。