「いま/今」の意味・活用・使用例【副詞】
このテキストでは、古文単語「
いま/今」の意味、解説とその使用例を記している。
「いま/今」には
①名詞
②副詞
などの用法があるが、ここでは「②副詞」を扱う。
副詞
■意味1
たった今。
[出典]:うれしきもの 枕草子
「御前に人々所もなくゐたるに、今のぼりたるは、少し遠き柱もとなどにゐたるを、とく御覧じつけて...」
[訳]:(中宮の)御前に人々がたくさん集まって隙間なく座っているところに、たった今参上したので、(中宮から)少し離れた柱そのそばに座っているのを、(中宮が)素早く御覧になって...
■意味2
今すぐ、すぐに。
[出典]:
尼、地蔵を見奉ること 宇治拾遺物語
「あそびにいぬ。
いま来なん。」
[訳]:遊びに行っています。
すぐに(帰って)来るでしょう。
■意味3
やがて、間もなく。
[出典]:
虫は 枕草子
「
今、秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ。」
[訳]:
間もなく、秋風が吹いたらそのときに来ようとしている。(それまで)待っていなさいね。
■意味4
新たに、今度、最近。
[出典]:
帰京 土佐日記
「五年六年のうちに、千年や過ぎにけむ、かたへはなくなりにけり。
今生ひたるぞ交じれる。」
[訳]:5、6年のうちに、1000年も過ぎてしまったのだろうか、(松の)一部分がなくなってしまっていた。(松には)
新しく生えたものがまじっている。
■意味5
さらに、なお、もう。
[出典]:
児のそら寝 宇治拾遺物語
「...と言ふ声のしければ、あなわびしと思ひて、
今一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、 [ひしひしとただ食ひに食ふ音のしければ...」
[訳]:...という声がしたので、ああ、困ったことだと思って、
もう一度起こしてくれよと、思いながら寝て聞き耳をたてると、(僧たちが餅を)むしゃむしゃと、ただどんどん食べる音がしたので...