「けしきだつ/気色立つ」の意味・活用・使用例【タ行四段活用】
このテキストでは、タ行四段活用の動詞「
けしきだつ/気色立つ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
タ行四段活用
未然形 | けしきだた |
連用形 | けしきだち |
終止形 | けしきだつ |
連体形 | けしきだつ |
已然形 | けしきだて |
命令形 | けしきだて |
■意味1:自動詞
態度や顔に思いが表れる、思いを表す。
[出典]:明石 源氏物語
「心恥づかしう思さるれば、気色立ちたまふことなし。」
[訳]:(紫の上がいながら明石の君に言い寄ることは)気がひけることだとお思いになるので、(明石の君に)思いを表しなさることはない。
■意味2:自動詞
気取る、もったいぶる。
[出典]:大鏡
「扇を差し隠して、気色立ち笑ふ程も、さすがにをかし。」
[訳]:扇をかざして(顔を)隠して、気取って笑う様子も、やはり趣がある。
■意味3:自動詞
花が咲き出しそうである、兆しが見える、自然の現象が表れる。
[出典]:
折節の 徒然草
「鳥の声などもことのほかに春めきて、のどやかなる日影に、垣根の草萌えいづるころより、やや春ふかく霞わたりて、花もやうやう
気色立つほどこそあれ...」
[訳]:鳥の鳴き声などとりわけ春めいて、穏やかな日差しによって、垣根の草が芽ぐむころから、しだいに春も深まり一面に霞がかかって、桜の花もだんだんと
咲き出しそうになるころではあるが...
■意味4:自動詞
妊娠・出産の兆しが見える。
[出典]:栄花物語
「この左京大夫殿の御上、気色立ちて悩ましうおぼしたれば...」
[訳]:この左京大夫殿の奥方は、出産の兆しが見えて気分が悪くお思いになるので...