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古文単語「おこす/起こす」の意味・解説【サ行四段活用】

著者名: 走るメロス
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おこす/起こす

このテキストでは、サ行四段活用の動詞「おこす/起こす」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

「おこす」には
①起こす
②遣す
などの用法があるが、ここでは「①起こす」を扱う。
サ行四段活用

未然形おこさ
連用形おこし
終止形おこす
連体形おこす
已然形おこせ
命令形おこせ


意味1:他動詞

(横になっているものを)
立てる、立たせる

[出典]猫また 徒然草
「家々より、松どもともして走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。『こは如何に。』とて、川の中より抱き起こしたれば...」

[訳]:(近くの)家々から、(人々が)たいまつに火をつけて走り寄って見ると、このあたりで顔見知りである僧です。(人々は) 「これはどうしたものか。」と言って、(僧を)川の中から抱き起こしたところ...


意味2:他動詞

起こす、眠りから目覚めさせる

[出典]児のそら寝 宇治拾遺物語
「や、な起こしたてまつりそ。幼き人は寝入りたまひにけり。」

[訳]:これ、お起こし申し上げるな。幼い人は寝入ってしまわれたよ。




意味3:他動詞

(炭などに)
火をおこす、火をつける

[出典]春はあけぼの 徒然草
「火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。」

[訳]:火などを急いでおこして、(廊下などを)炭を持って移動するのも、たいそう(冬の朝に)ふさわしい。


意味4:他動詞

(気持ちを)
奮い立たせる

[出典]: 若菜下 源氏物語
「いといみじく心ぐるしければ、心を起こして祈りきこゆ。」

[訳]:とてもたいそう(光源氏のことが)気の毒なので、(高僧たちは)心を奮い立たせてお祈り申し上げる。




意味5:他動詞

(ある感情や気持ちを)
生じさせる

[出典]: 世に語り伝ふること 徒然草
「道知れる人は、さらに信も起こさず。」

[訳]:道を知る人は、一向に信仰心も生じさせない。


意味6:他動詞

(戦争や反乱を)
始める、起こす

[出典]: 廻文 平家物語
「兵衛佐頼朝、すでに謀叛をおこし...」

[訳]:兵衛佐頼朝は、とっくに謀叛を始め...




意味7:他動詞

(衰えていたものを)
盛んにする、再興する

※「興す」とも。
[出典]: 紺掻之沙汰 平家物語
「身を立て家をおこすのみならず...」

[訳]:立身出世して家を再興するだけではなく...


意味8:他動詞

版木に掘る、出版する、文章を書き始める
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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

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