新規登録 ログイン

9_80 ことば / 単語

古文単語「あぢきなし」の意味・解説【形容詞ク活用】

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加
あぢきなし

このテキストでは、ク活用の形容詞「あぢきなし」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

形容詞・ク活用

未然形あぢきなくあぢきなから
連用形あぢきなくあぢきなかり
終止形あぢきなし
連体形あぢきなきあぢきなかる
已然形あぢきなけれ
命令形あぢきなかれ


意味1

(道理から外れていて)
どうしようもない、まともでない

[出典]桐壷 源氏物語
「唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれと、やうやう天の下にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて...」

[訳]:唐(中国)でも、このようなこと(帝が女性を寵愛しすぎたこと)が原因で、世の中が乱れて具合が悪いことになったのだと、次第に世間でもまともでないことと、人の悩みの種となっていて...


意味2

甲斐がない、無意味だ、無益だ

[出典]安元の大火 方丈記
「人の営み、みな愚かなる中に、さしも危ふき京中の家を作るとて、財を費やし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞはべる。」

[訳]:人間のすることはみな愚かであるが、(その中でも大火に見舞われた)あんなにも危険な都の中の家を建てるといって、財産を浪費し、心を苦しめることは、際立って甲斐のないことである。




意味3

おもしろくない、つまらない

[出典]をりふしの移り変わるこそ 徒然草
「おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざなれば、筆にまかせつつ、あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなれば、人の見るべきにもあらず。」

[訳]:こうあって欲しいと思うことを口にしないのは(お腹が膨れるような)気持ちが悪いことなので、(この文章は)筆の(勢い)にまかせながら(書いた)、つまらない気慰みで、(書いては)すぐに破り捨てるべきものだから、人が見るようなものでもない。


意味4

耐え難い、切ない

[出典]:たまきはる
「曹子の内にゐて、いとど昔恋しく、あぢきなくて、この母と頼みし人に...」

[訳]:部屋の中にいて、大変昔のことが恋しく、切なくて、この母と頼みにしていた人に...


備考

「あぢきなう」は「あぢきなし」の連用形「あぢきなく」のウ音便。
Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 54,706 pt 
 役に立った数 16 pt 
 う〜ん数 3 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。