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枕草子 原文全集「かしこき物は」

著者名: 古典愛好家
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かしこき物は

かしこき物は、乳母(めのと)のをとここそあれ。帝、親王(みこ)たちなどは、さるものにて、をきたてまつりつ。そのつぎつぎ、受領の家などにも、所につけたるおぼえ、わづらはしきものにしたれば、したり顔に、わが心地もいとよせありて、このやしなひたる子をも、むげにわがものになして、女はされどあり、男児(をのこご)はつとたちそひてうしろみ、いささかもかの御ことにたがふものをば、つめたて、讒言(ざうげん)し、あしけれど、これが世をば心にまかせていふ人もなければ、ところえいみじき面持ちして、ことおこなひなどす。
 

むげにをさなきほどぞすこし人わろき。親の前にふすれば、ひとり局に臥したり。さりとてほかへいけば、こと心ありとてさわがれぬべし。しゐてよびおろしてふしたるに、

「まづまづ」


とよばるれば、冬の夜などひきさがしひきさがしのぼりぬるが、いとわびしきなり。それは、よき所もおなじこと、いますこしわづらはしきことのみこそあれ。



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・枕草子 原文全集「かしこき物は」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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