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蜻蛉日記原文全集「かくありきつつ絶えずはくれども」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

かくありきつつ絶えずはくれども

子どもあまたありと聞くところも、むげに絶えぬときく。あはれ、ましていかばかりと思ひてとぶらふ。九月ばかりのことなりけり。

「あはれ」


など、しげく書きて、

ふく風につけてもとはむささがにの かよひしみちはそらにたゆとも

かへりごとに、こまやかに

いろかはるこころとみればつけてとふ かぜゆゆしくもおもほゆるかな

とぞある。

かくて、つねにしもえはなれはてで、ときどき見えて、冬にもなりぬ。ふしおきは、ただをさなき人をもてあそびて

「いかにして網代の氷魚(ひを)にこと問はむ」


とぞ、心にもあらでうちいはるる。



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・蜻蛉日記原文全集「かくありきつつ絶えずはくれども」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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