能登殿最期
このテキストでは、平家物語の中の『能登殿最期』の「今はかうと思はれければ〜」から始まる部分の品詞分解を記しています。書籍によっては「壇ノ浦の合戦」と題するものもあるようです。
※前回のテキスト:
「およそ能登守教経の矢先に〜」の品詞分解
※現代語訳:
平家物語『能登殿最期』(今はかうと思はれければ~)わかりやすい現代語訳と解説
※「祇園精舎の鐘の声〜」で始まる一節で広く知られている平家物語は、鎌倉時代に成立したとされる軍記物語です。平家の盛者必衰、武士の台頭などが描かれています。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■今はかうと思はれければ、太刀・長刀海へ投げ入れ、甲も脱いで捨てられけり。
今 | ー |
は | 係助詞 |
かう | 副詞 |
と | 格助詞 |
思は | ハ行四段活用・未然形 |
れ | 尊敬の助動詞・連用形 |
けれ | 過去の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
太刀・長 | ー |
海 | ー |
へ | 格助詞 |
投げ入れ、 | ラ行下二段活用・連用形 |
甲 | ー |
も | 係助詞 |
脱い | ガ行上一段活用のイ音便 |
で | 接続助詞 |
捨て | タ行下二段活用・未然形 |
られ | 尊敬の助動詞・連用形 |
けり。 | 過去の助動詞・終止形 |
■鎧の草摺(くさず)りかなぐり捨て、胴ばかり着て、大童になり、大手を広げて立たれたり。およそあたりを払つてぞ見えたりける。恐ろしなんどもおろかなり。
鎧 | ー |
の | 格助詞 |
草摺 | ー |
かなぐり捨て、 | タ行下二段活用・連用形 |
胴 | ー |
ばかり | 副助詞 |
着 | カ行上一段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
大童 | ー |
に | 格助詞 |
なり | ラ行四段活用・連用形 |
大手、 | ー |
を | 格助詞 |
広げ | ガ行下二段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
立た | タ行四段活用・未然形 |
れ | 尊敬の助動詞・連用形 |
たり。 | 完了の助動詞・終止形 |
およそ | 副詞 |
あたり | ー |
を | 格助詞 |
払つ | ハ行四段活用・連用形の促音便 |
て | 接続助詞 |
ぞ | 係助詞 |
見え | ヤ行下二段活用・連用形 |
たり | 完了の助動詞・連用形 |
ける。 | 過去の助動詞・連体形 |
恐ろし | 形容詞・シク活用・終止形 |
なんど | 副助詞 |
も | 係助詞 |
おろかなり。 | 形容動詞・ナリ活用・終止形 |
■能登殿、大音声をあげて、「われと思はん者どもは、寄つて教経に組んで生け捕りにせよ。
能登殿、 | ー |
大音声 | ー |
を | 格助詞 |
あげ | ガ行下二段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
「我 | 代名詞 |
と | 格助詞 |
思は | ハ行四段活用・未然形 |
ん | 婉曲の助動詞・連体形 |
者ども | 名詞+接尾語 |
は、 | 係助詞 |
寄つ | ラ行四段活用・連用形の促音便 |
て | 接続助詞 |
教経 | ー |
に | 格助詞 |
組ん | マ行四段活用・連用形の撥音便 |
で | 接続助詞 |
生け捕り | ー |
に | 格助詞 |
せよ。 | サ行変格活用・命令形 |
■鎌倉へ下つて、頼朝に会うて、ものひと言言はんと思ふぞ。寄れや、寄れ。」とのたまへども、寄る者一人もなかりけり。
鎌倉 | ー |
へ | 格助詞 |
下つ | ラ行四段活用・連用形の促音便 |
て、 | 接続助詞 |
頼朝 | ー |
に | 格助詞 |
会う | ハ行四段活用・連用形のウ音便 |
て、 | 接続助詞 |
もの | ー |
ひとこと | ー |
言は | ハ行四段活用・未然形 |
ん | 意志の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・連用形 |
ぞ。 | 終助詞 |
寄れ | ラ行四段活用・命令形 |
や、 | 間投助詞 |
寄れ。」 | ラ行四段活用・命令形 |
と | 格助詞 |
のたまへ | ハ行四段活用・已然形・尊敬語 |
ども、 | 接続助詞 |
寄る | ラ行四段活用・連体形 |
者 | ー |
一人 | ー |
も | 係助詞 |
なかり | 形容詞・ク活用・連用形 |
けり。 | 過去の助動詞・終止形 |
【「のたまふ」の意味は?】