「みす」の意味・使用例
このテキストでは、古文単語「みす」の意味、解説とその使用例を記している。
「みす」には
①
御簾(名詞)
②
見す(サ行四段活用/サ行下二段活用)
などの用法がある。
①御簾
名詞
■意味
屋敷のすだれ。
[出典]:
雪のいと高う降りたるを 枕草子
「『少納言よ。香炉峰の雪いかならむ。』と仰せらるれば、御格子上げさせて、
御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。」
[訳]:「清少納言よ。香炉峰の雪はどうであろうか。」と(定子様が)おっしゃるので、(私は人に命じて)御格子を上げさせて、
御簾を高く上げたところ、お笑いになります。
②見す
サ行四段活用
■意味:他動詞
「見る」の尊敬語で
ご覧になる。
[出典]:継体 日本書紀
「御諸が上に登り立ち我が見せば...」
[訳]:三輪山の頂上に登って私が御覧になると...
※「我が見せば」は自敬の表現。
サ行下二段活用
■意味1:他動詞
見せる、見させる。
[出典]:
門出・東路の道の果て 更級日記
「京にとく上げたまひて、物語の多く候ふなる、ある限り
見せたまへ。」
[訳]:(私を)京に早く上らせてくださって、物語が多くございますと聞くのを、この世にある限りお
見せくださいませ。
■意味2:他動詞
結婚させる。
[出典]:東屋 源氏物語
「少将などといふほどの人に見せむも惜しくあたらしきさまを...」
[訳]:少将などという身分の人と結婚させるのも惜しくもったいない(浮舟の)姿を...
■意味3:他動詞
占わせる。
[出典]:明石 源氏物語
「しのびて、よろしき日みせて...」
[訳]:(明石の入道は)ひそかに、(陰陽師に)吉日を占わせて...
■意味4:他動詞
経験させる。
[出典]:徳大寺之沙汰 平家物語
「よしなき謀反おこいて、わが身もほろび、子息所従に至るまで、かかる憂き目を見せたまふこそうたてけれ。」
[訳]:(新大納言が)このようにもつまらない謀反をおこして、自身も亡び、子息や家来に至るまで、このようなつらい目を経験させるのは情けないことでした。