「みだる/乱る」の意味・活用・使用例【ラ行下二段活用】
このテキストでは、ラ行下二段活用の動詞「
みだる/乱る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ラ行下二段活用
未然形 | みだれ |
連用形 | みだれ |
終止形 | みだる |
連体形 | みだるる |
已然形 | みだるれ |
命令形 | みだれよ |
■意味1:自動詞
入り乱れる、交じり合う。
[出典]:
百人一首 待賢門院堀河
「長からむ 心もしらず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ」
[訳]:(私のことを想ってくださるお気持ちが)末永く変わらないかどうかもわかりません。(一夜を共にして別れた)今朝はこの黒髪のように心も
乱れ、物思いにふけっています。
■意味2:自動詞
騒ぎが起こる、騒動が起こる、混乱する。
[出典]:
平家物語
「遠くの異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の禄山、これらは皆、旧主先皇の政にも従はず、楽しみを極め、諫めをも思ひ入れず、天下の
乱れんことを悟らずして...」
[訳]:遠く外国(の例)を探すと、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の禄山、これらの者はみな、もとの主君や前の皇帝の政治にも従わず、享楽の限りを尽くし、(他人の)諌言も気にかけることなく、天下が
混乱していることを理解せず...
■意味3:自動詞
(礼儀や態度などが)
だらしない。
[出典]:枕草子
「「内わたりなどのやんごとなきも、今日は皆乱れてかしこまりなし。」
[訳]:内裏などの特別な場所でも、今日はみなだらしなくなって慎みがない。
■意味4:自動詞
心の平静を失う、思い悩む。
[出典]:源氏物語
「さまざま乱るる心のうちをだに、え聞こえあらはしたまはず、いぶせし。」
[訳]:いろいろと思い悩む心の中さえも、お打ち明け申すことができず、心が晴れない。
■意味5:他動詞
ばらばらに散らす、入り交らせる。
■意味6:他動詞
心を乱れさせる、思い悩ませる、乱す。
[出典]:源氏物語
「今さらに心をみだるも、いといとほしげなり」
[訳]:今さら心を乱すのも、とても気の毒な様子である。
■意味7:他動詞
世の中を騒がせる、混乱させる。
[出典]:平家物語
「この一門を滅ぼして、天下を乱らんとする企てあり。」
[訳]:この一門を滅ぼして、天下を混乱させようとする企てがある。