いづれ/何れ
このテキストでは、古文単語「
いづれ/何れ」の意味、解説とその使用例を記している。
「いづれ」には
①代名詞
②副詞
の用法がある。
①代名詞
■意味1
(複数の人物や事象の中からひとつを選んで)
どれ、どの、いつ。
[出典]:
桐壷 源氏物語
「
いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。 」
[訳]:
どの天皇の時代であったでしょうか、女御や更衣がたくさん(天皇に)お仕え申し上げていらっしゃった中に、それほど高貴な身分ではない方で、際だって帝のご寵愛を受けていらっしゃる方がいました。
■意味2
どっち、どちら。
[出典]:
黒鳥のもとに・白波 土佐日記
「わが髪の雪と磯辺の白波と
いづれまされり沖つ島守 」
[訳]:私の雪のような白髪と波の白さとでは
どちらが白いのだろうか、沖の島の守り主よ。
②副詞
■意味
どちらにせよ、どうせ。
[出典]:狂言 粟田口
「『ちとむさいなあ。』
『いづれ、きれいにはござりませぬ。』」
[訳]:「ちょっと汚いなあ。」
「どちらにせよ、綺麗ではございません。