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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

百人一首75『契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり』現代語訳と解説(縁語など)

著者名: 走るメロス
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百人一首(75)藤原基俊/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解


契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「契りおきしさせもが露を命にてあはれ今年の秋もいぬめり」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(縁語、句切れの有無など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に千載和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。

原文

契りおきし (※1)させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり

ひらがなでの読み方

ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきも いぬめり



現代語訳

約束してくださった、(任せておきなさいという)させも草の露(のようにはかない/ありがたいあなたの言葉を)命のように大切にして生きてきましたが、あぁ、今年の秋もむなしく過ぎ去ってしまうようです。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代後期の貴族藤原基俊(ふじわら の もととし)です。

藤原基俊には、光覚という息子(興福寺の僧侶)がいました。光覚はとある仏事の講師に就任することを望んでいたのですが、いつも選考に漏れていました。そのため藤原基俊は、前の太政大臣・藤原忠通に、光覚を講師に抜擢してほしいと頼みにいきます。藤原忠通からは「まかせておけ」という返事をもらい、その言葉を頼りに選考のある秋を迎えたのですが、ふたを開けてみると光覚はやはり講師に選ばれませんでした。

藤原忠通に対する恨み事を詠んだ歌といえます。

主な技法・単語・文法解説

単語・文法解説

(※1)させもが露「させも」は「させも草」(よもぎ)のこと。「させも草の露のようにありがたい/はかない」の意で訳している



縁語

「あき」、「命」、「秋」が「露」の縁語。

※「縁語(えんご)」とは、和歌の修辞技法のひとつ。ひとつの和歌にある言葉と、意味や音声の上で関連のある言葉を用いて表現に幅をもたせる技法。


句切れ

句切れなし。


品詞分解

※名詞は省略しています。



契りおきカ行四段活用「ちぎりおく」の連用形
過去の助動詞「き」の連体形
させも
格助詞
格助詞
にて格助詞
あはれ感動詞
今年
格助詞
係助詞
いぬナ行変格活用「いぬ」の終止形
めり推定の助動詞「めり」の終止形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

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