「はや夜も明けなむと思ひつつゐたりける」の現代語訳・口語訳・意味・品詞分解
原文
はや夜も
明けなむと思ひつつ
ゐたりけるに、鬼
はや一口に
喰ひてけり。
現代語訳・口語訳・意味
行先はたくさんあり、夜も更けてしまったので、鬼のいるところとも知らないで、雷までもが大変ひどく鳴り、雨もひどく降ったので、荒れ果てた蔵に、女性を奥に押し込んで、男は弓とやなぐいを背負って扉の前に居る。
はやく夜も明けてほしいと思いながらいたところ、鬼はたちまち一口に(女性を)食べてしまいました。
品詞分解
| 単語 | 品詞 |
| はや | 副詞 |
| 夜 | 名詞 |
| も | 係助詞 |
| 明け | カ行下二段活用「あく」の未然形 |
| なむ | 終助詞 |
| と | 格助詞 |
| 思ひ | ハ行四段活用「おもふ」の連用形 |
| つつ | 接続助詞 |
| ゐ | ワ行上一段活用「ゐる」の連用形 |
| たり | 存続の助動詞「たり」の連用形 |
| ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
主な出典
【伊勢物語「芥川」】
行く先多く、夜も更けにければ、鬼あるところとも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れて、男、弓・やなぐひを負ひて、戸口にをり。はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、鬼はや一口に喰ひてけり。