百人一首(59)赤染衛門/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方
やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて 傾くまでの 月を見しかな
このテキストでは、
百人一首に収録されている歌「
やすらはで寝なましものを小夜ふけて傾くまでの月を見しかな」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(歌枕・縁語など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。
百人一首とは
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・
藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、
小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。
暗記に役立つ百人一首一覧
以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。
※
暗記に役立つ百人一首一覧
原文
やすらはで 寝なましものを 小夜ふけて 傾くまでの 月を見しかな
ひらがなでの読み方
やすらはで ねなましものを さよふけて かたぶくまでの つきをみしかな
現代語訳
(あなたが来ないとわかっていたなら)ためらわないで寝てしまったでしょうに。(あなたが来るのを待ち続け)夜が更けて、西の空に傾くまで月を眺めたことですよ。
解説・鑑賞のしかた
この歌の詠み手は、
赤染衛門(あかぞめえもん)です。藤原道長の正室やその娘、中宮彰子に仕えました。紫式部や和泉式部とは同僚で、その和歌の才能は和泉式部と並んで称されました。
詞書によると、赤染衛門の姉妹のところに通っていた男性が、「行きます」と言ってその気にさせてきたのに、結局は通ってこなかった。その姉妹に代わって詠んだ歌とされています。
主な技法・単語・文法解説
■句切れ
二句切れ。
品詞分解
※名詞は省略しています。
やすらは | ハ行四段活用「やすふらふ」の未然形 |
で | 接続助詞 |
寝 | ナ行下二段活用「ぬ」の連用形 |
な | 完了の助動詞「ぬ」の未然形。確述の意味で用いている。 |
まし | 反実仮想の助動詞「まし」の連体形 |
ものを | 終助詞 |
小夜 | ー |
ふけ | カ行下二段活用「ふく」の連用形 |
て | 接続助詞 |
傾く | カ行四段活用「かたぶく」の連体形 |
まで | 副助詞 |
の | 格助詞 |
月 | ー |
を | 格助詞 |
見 | マ行上一段活用 |
し | 過去の助動詞「き」の連体形 |
かな | 詠嘆の終助詞 |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。