絶対値を含む不等式
絶対値は、その性質から
であることがわかっています。これらの特徴を利用して次の問題を解いてみましょう。
任意の実数aとbについて、a≠0、b≠0のとき、
|a|+|b|≧|a+b|
となることを証明しなさい。
両辺の平方の差を考えてみます。
※|a+b|²=(a+b)² であることがポイントです。
|ab|と−abに着目すると、|ab|は絶対値の性質より、常に正の値をとります。また、−abはどんな値を代入しても|ab|より大きくなることはありません。
例えばaとbがともに正の数だった場合、−abは負の数となり|ab|より小さくなります。aとbのどちらかが正の数でどちらかが負の数だった場合、−abは正の数となりますが|ab|と同じ値をとります。aとbが負の数だった場合、−abは負の数となり|ab|より小さくなります。
以上のことから
2|ab|−2ab≧0
つまり
2|ab|≧2ab
ひいては
(|a|+|b|)²≧|a+b|² …①
が成り立つことがわかります。
さらに、
|a|+|b|≧0
|a+b|≧0
なので、①式は2乗をはずしてもその大小に変わりはありません。
以上のことから、
|a|+|b|≧|a+b|
が成り立つことがわかりました。
絶対値の性質をきちんと把握しておくことがこの手の問題の解法への近道です。