「ため/為」の意味・活用・使用例【名詞】
このテキストでは、古文単語「
ため/為」の意味、解説とその使用例を記している。
名詞
■意味1
〜のために、利益となるようにすること。
[出典]:
古今和歌集/小倉百人一首
「君が
ため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ」
[訳]:あなた
のために、春の野原に出て若菜を摘む私の袖には、雪が降り続けていることですよ
■意味2
〜の目的で、〜のために。
[出典]:
ある者、子を法師になして 徒然草
「ある者...教へのままに説経師にならむ
ために、まづ馬に乗りならひけり。」
[訳]:ある人が...と言ったので、(子どもは親の)教えのままに説経師になろうとする
ために、まず馬に乗ることを習いました。
■意味3
(後ろに「に」を伴って)
〜にとって。
[出典]:
道真の左遷 大鏡
「...さるべきにやおはしけむ、右大臣の御
ためによからぬこと出できて、昌泰四年正月二十五日、大宰権帥になしたてまつりて、流され給ふ。」
[訳]:...そうなるはずの運命でいらっしゃったのでしょうか、右大臣殿
にとって好ましくないことが生じ、昌泰四年一月二十五日に、(朝廷が右大臣を)大宰権帥に任命し申し上げ、(太宰府へと)左遷されなさいます。
■意味4
〜のせいで、〜によって。
[出典]:徒然草
「...かくあやしき身のために、あたら、身をいたづらになさんやは...」
[訳]:...このように卑しい身分のせいで、惜しいことに、一生を無駄にするだろうか、いやしない...