さるべきにや/然るべきにや
このテキストでは、古文単語「
さるべきにや/然るべきにや」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
成り立ち
ラ行変格活用「然り」の連体形「さる」と当然の助動詞「べし」の連体形「べき」、断定の助動詞「なり」の連用形「に」そして疑問の係助詞「や」が一語になったもの。
連語
■意味1
そうなるはずのことなのか、そうなるべき運命ではなかろうか。
[出典]:
道真の左遷 大鏡
「...右大臣の御おぼえことのほかにおはしましたるに、左大臣安からず思したるほどに、
さるべきにやおはしけむ、右大臣の御ためによからぬこと出できて、昌泰四年正月二十五日、大宰権帥になしたてまつりて、流され給ふ。 」
[訳]:...右大臣への帝のご信頼は格別なものでございましたが、(そのことを)左大臣は心安らかではなくお思いになるうちに、
そうなるはずの運命でいらっしゃったのでしょうか、右大臣殿にとって好ましくないことが生じ、昌泰四年一月二十五日に、(朝廷が右大臣を)大宰権帥に任命し申し上げ、(太宰府へと)左遷されなさいます。
■意味2
そうしなければならないのか、そうするのが当然なのではなかろうか。
[出典]:祭過ぎぬれば 徒然草
「『祭過ぎぬれば、後の葵不要なり』とて、或人の、御簾なるを皆取らせられ侍りしが、色もなく覚え侍りしを、よき人のし給ふ事なれば、さるべきにやと思ひしかど...」
[訳]:「(葵)祭が終われば、残った葵はいらない。」といって、ある人が、御簾の(葵)を全部取らせなさったことを、情緒もないことだと思われたのですが、身分が高くて教養のある人のしなさったことなので、そうするのが当然なのではなかろうかと思ったのですけれども...