さしのく/差し退く/差し除く
「さしのく」には
①カ行四段活用
②カ行下二段活用
の用法がある。
①カ行四段活用
未然形 | さしのか |
連用形 | さしのき |
終止形 | さしのく |
連体形 | さしのく |
已然形 | さしのけ |
命令形 | さしのけ |
■意味1:自動詞
退く、離れる、引き下がる。
[出典]:今昔物語
「さしのきて、蕎みて居ぬ。」
[訳]:(女房は大臣から)離れて、横向きに座った。
■意味2:自動詞
関係が薄くなる、疎遠になる。
[出典]:宇治拾遺物語
「うちさしのきたる人にもおはしまさず。」
[訳]:関係が薄くなった人でもいらっしゃらない。
②カ行下二段活用
未然形 | さしのけ |
連用形 | さしのけ |
終止形 | さしのく |
連体形 | さしのくる |
已然形 | さしのくれ |
命令形 | さしのけよ |
■意味:他動詞
退かせる、立ち退かせる、取り除く。
[出典]:
車争ひ 源氏物語
「よき女房車多くて、雑々の人なき隙を思ひ定めて、皆
さし退けさする中に...」
[訳]:高貴な身分の女性の牛車が多いので、身分の低い者どものいない所(を見つけそこに停める)とよく考えて決め、皆(周りの車)を
立ち退かせる中に...