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5_80 世界の様々な地域 / 各国の名称と位置・大陸

「ドミニカ国」について調べてみよう

著者名: 早稲男
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ドミニカ国

ドミニカ国(英語ではCommonwealth of Dominica)は、カリブ海の小アンティル諸島に位置する共和制国家です。大アンティル諸島に位置するドミニカ共和国とは全く異なる国です。首都はロゾーです。

このテキストでは、ドミニカ国の特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。


1. 国土

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ドミニカ国は、カリブ海の小アンティル諸島に位置する島嶼国家です。国土面積は751平方キロメートルです。同国は、火山性の地形が特徴であり、最高峰はモーアン・ディアブロ山の1,447メートルです。

国土の大部分は熱帯雨林に覆われており、手つかずの自然が豊富に残されています。多数の河川と滝が存在し、「カリブの自然島」と称される所以となっています。

海岸線は長く、美しい砂浜と断崖が入り混じった多様な景観を呈しています。地質的には、活発な火山活動の痕跡が見られ、温泉や沸騰湖などの地熱地帯も点在しています。

気候は熱帯海洋性気候であり、年間を通じて高温多湿です。6月から11月にかけてはハリケーンシーズンにあたります。


2. 人口と人種

ドミニカ国の人口は約73,000人です。人口密度は比較的低く、国土の自然が保全されている要因の一つです。人種構成は、アフリカ系(黒人)が約86.6%を占めており、次いでムラート(混血)が9.1%、先住民であるカリブ族が2.9%、その他が1.3%、白人が0.2%となっています。

先住民カリブ族は、カリナゴ・テリトリーと呼ばれる地域に居住しており、カリブ海地域で唯一、大規模な集落を維持しています。この多様な人種構成は、ドミニカ国の歴史的背景、特に奴隷貿易と植民地支配の影響を反映しています。


3. 言語

ドミニカ国の公用語は英語です。これは、同国がイギリス連邦の一員であることに起因しています。しかしながら、国民の間ではドミニカ・クレオール語(パトワ)も広く話されています。ドミニカ・クレオール語は、フランス語を基盤とし、アフリカ諸語やカリブ語の要素が混じり合った言語です。これは、かつてフランスによる支配も経験したという歴史的経緯を反映しています。公的な場や教育においては英語が主に使用されますが、日常生活においてはクレオール語が重要な役割を果たしています。この二言語併用状況は、ドミニカ国の文化的特徴の一つです。


4. 主な産業

ドミニカ国の主な産業は農業、観光業、および軽工業です。

農業

農業では、バナナ、柑橘類、ココナッツ、ココア、香辛料などが主に生産されています。特にバナナは、かつては主要な輸出品目でしたが、近年はハリケーン被害や国際市場の変動により生産量が不安定になる傾向が見られます。

観光業

観光業は、近年成長を遂げている分野です。ドミニカ国の豊かな自然、特にハイキング、ダイビング、エコツーリズムが観光客を惹きつけています。世界遺産に登録されているモルヌ・トロワ・ピトン国立公園は、その中心的な観光資源の一つです。

軽工業

軽工業は、主に農産物の加工や飲料水の生産などが行われています。

近年は、政府が外国投資の誘致に力を入れており、オフショア金融サービスや情報通信技術(ICT)分野の発展も目指されています。


5. 主な観光地

ドミニカ国は「カリブの自然島」と称されるほど、手つかずの自然が最大の魅力です。主な観光地としては以下のものが挙げられます。

・モルヌ・トロワ・ピトン国立公園(Morne Trois Pitons National Park)
・沸騰湖(Boiling Lake)
・トラファルガーの滝(Trafalgar Falls)
・エメラルド・プール(Emerald Pool)
・カリナゴ・テリトリー(Kalinago Territory)
・インディアン・リバー(Indian River)
・バラカ(Baraka)

6. 文化

ドミニカ国の文化は、アフリカ、ヨーロッパ(主にフランスとイギリス)、そして先住民であるカリブ族の多様な要素が融合して形成されています。

音楽とダンスは日常生活に深く根付いており、特にクレオール音楽であるカダン(Cadence-lypso)やソカ(Soca)などが人気です。毎年開催されるカーニバルは、色鮮やかな衣装と音楽、ダンスで彩られ、国民のアイデンティティを表現する重要なイベントです。

食文化も豊かで、カリブ海の新鮮なシーフードや、多様な地元の野菜や果物が用いられます。国民食の一つである「マニク・クダール(Manicou Cudou)」は、有袋類のマニクを煮込んだ料理です。

また、ドミニカ国には口頭伝承の豊かな伝統があり、特にアンアンシー・ストーリー(Anansi stories)と呼ばれるアフリカ起源の物語が親しまれています。

宗教はキリスト教が多数を占め、主にカトリックとプロテスタントの信者がいます。


7. スポーツ

ドミニカ国で最も人気のあるスポーツはクリケットです。クリケットはイギリスの植民地時代の名残であり、カリブ海諸国全体で熱狂的な人気を誇っています。ドミニカ国は、西インド諸島クリケットチームの一員として国際大会に参加しています。

サッカーも人気があり、ドミニカ国代表チームは国際サッカー連盟(FIFA)に加盟しています。陸上競技も盛んで、特に短距離走や長距離走で才能を発揮する選手が見られます。バスケットボールやバレーボールも、学校や地域社会で広く親しまれています。水に恵まれた環境から、水泳やカヌーなどのウォータースポーツも行われています。


8. 日本との関係

日本とドミニカ国の間には、友好的な外交関係が確立されています。日本は、ドミニカ国の経済開発や社会インフラ整備に対し、政府開発援助(ODA)を通じて支援を行ってきました。特に、災害復旧・防災、水産、農業、教育、医療といった分野での協力実績があります。具体的には、ハリケーンによる被害からの復旧支援、漁港の整備、水産資源管理能力向上のための技術協力、学校や病院の建設などが挙げられます。

人的交流も行われており、日本の青年海外協力隊員がドミニカ国に派遣されたり、ドミニカ国の研修員が日本で研修を受けたりする機会もあります。文化交流としては、日本の文化を紹介するイベントなどが開催されることもあります。両国は国際連合などの国際的な枠組みにおいても協調関係にあります。

貿易関係においては、日本からドミニカ国への輸出が自動車や機械類が中心であり、ドミニカ国から日本への輸出は少量にとどまっています。
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CIA World Factbook
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