かくる/隠る
このテキストでは、古文単語「
かくる/隠る」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
※「かくる」には、
①ラ行四段活用(上代の作品)
②ラ行下二段活用(中古代以降の作品)
の用法がある。時代の変遷で用法は変化したが、意味は同じ。
①ラ行四段活用
未然形 | かくら |
連用形 | かくり |
終止形 | かくる |
連体形 | かくる |
已然形 | かくれ |
命令形 | かくれ |
■意味1:自動詞
隠れる、姿を消す。
[出典]:古事記
「青山に日が隠らばぬばたまの夜は出でなむ。」
[訳]:草木が青々と茂った山に日が隠れたならば、夜には姿を現して欲しい。
■意味2:自動詞
亡くなる。
[出典]:万葉集
「入り日なすかくりにしかば...」
[訳]:(妻は)死んでしまったので...
②ラ行下二段活用
未然形 | かくれ |
連用形 | かくれ |
終止形 | かくる |
連体形 | かくるる |
已然形 | かくるれ |
命令形 | かくれよ |
■意味1:自動詞
隠れる、姿を消す。
[出典]:伊勢物語
「この男、逃げて奥に隠れにければ...」
[訳]:この男は、逃げて奥に隠れてしまったので...
■意味2:自動詞
亡くなる。
[出典]:源氏物語 紫式部
「おどろおどろしき様にもおはしまさで、隠れさせたまひぬ。」
[訳]:重い症状になられることもなく、お亡くなりになられました。