しる/治る/領る/痴る
このテキストでは、古文単語「
しる/治る/領る/痴る」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
「しる」には
・
知る
・治る/領る
・痴る
の用法があり、それぞれ意味が異なる。ここでは①「治る/領る」と②「痴る」の解説を行う。
※参照:
知るの用法
①治る/領る
ラ行四段活用
未然形 | しら |
連用形 | しり |
終止形 | しる |
連体形 | しる |
已然形 | しれ |
命令形 | しれ |
■意味1:他動詞
治める、統治する、領有する。
[出典]:
伊勢物語
「昔、男初冠して、平城の京、春日の里に、
しるよしして、狩りに往にけり。 」
[訳]:昔、とある男が、元服して、奈良の都の春日の里に、その土地を
領有している縁で、狩りに出かけました。
②痴る
ラ行下二段活用
未然形 | しれ |
連用形 | しれ |
終止形 | しる |
連体形 | しるる |
已然形 | しるれ |
命令形 | しれよ |
■意味1:自動詞
ぼうっとする、愚かになる。
[出典]:
竹取物語
「...荒れも戦はで、心地ただ
痴れに痴れて、まもりあへり。 」
[訳]:...激しく戦うこともしないで、心がすっかり
ぼんやりとして、顔を見合わせてしまいました。
■意味2:自動詞
いたずら好きである、物好きである。
※この用法の場合、「痴れたる」の形で使われる場合が多い。
[出典]:徒然草 兼好法師
「亀山院の御時、 しれたる女房ども、若き男たちの参らるるごとに...」
[訳]:亀山院の御代に、いたずら好きの女房たちが、若い男たちが参内されるたびに...
※参照:
知るの用法