はるかなり/遙かなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
はるかなり/遙かなり」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | はるかなら | ◯ |
連用形 | はるかなり | はるかに |
終止形 | はるかなり | ◯ |
連体形 | はるかなる | ◯ |
已然形 | はるかなれ | ◯ |
命令形 | はるかなれ | ◯ |
■意味1
距離が遠く離れている様子。
[出典]:
神無月のころ 徒然草
「神無月のころ、栗栖野といふ所を過ぎて、ある山里にたづね入ることはべりしに、
はるかなる苔の細道を踏み分けて、心細く住みなしたる庵あり。」
[訳]:10月ごろに、栗栖野という所を通り過ぎて、とある山里に(人を)訪ねて分け入ることがあったのですが、
遠くまで続いている苔の細道を踏み分けて(行くと)、わざわざもの寂しい状態にして住んでいる草庵があります。
■意味2
時間が随分と経っている様子、久しい様子、遠い先な様子。
[出典]:蜻蛉日記
「かくて、月はてぬれば、はるかになりはてぬるに...」
[訳]:こうして、(結婚予定していた)月が終わってしまうと、(時期がずれて結婚が)遠い先になってしまったので...
■意味3
手が届かない、気が進まない。
[出典]:桐壷 源氏物語
「大床子の御膳などは、いとはるかにおぼし召したれば...」
[訳]:(帝は)大床子のお膳などは、とても(召し上がることに)気が進まないと思っていらっしゃるので...
■意味4
程度がはなはだしい様子、非常に、とても。
[出典]:家の作りやうは 徒然草
「浅くてながれたる、はるかに涼し。」
[訳]:浅く流れているの(水)は、とても涼しい(感じがする)