あく/飽く
このテキストでは、カ行四段活用の動詞「
あく/飽く」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「あく」には
①
明く
②
開く/空く
③飽く
などの用法があるが、ここでは「③飽く」について扱う。
カ行四段活用
未然形 | あか |
連用形 | あき |
終止形 | あく |
連体形 | あく |
已然形 | あけ |
命令形 | あけ |
■意味1:自動詞
満足する、満ち足りた気持ちになる。
[出典]:宇治拾遺物語
「あはれ、いかで芋粥にあかん。」
[訳]:ああ、どうにかして芋粥に満足したい。(満足するほど食べたい)
■意味2:自動詞
うんざりする、十分すぎて嫌になる。
[出典]:閑居の気味 方丈記
「魚は水に飽かず。魚にあらざれば、その心を知らず。」
[訳]:魚は水にうんざりすることはない。(しかし私は)魚ではないので、その心はわからない。
■意味3:補助動詞
十分〜する。すっかり〜する、うんざりするほど〜する。
※この用法の場合、動詞の連用形に付いて用いられる。
[出典]:
馬のはなむけ・門出 土佐日記
「上中下、酔ひ
飽きて、いとあやしく、潮海のほとりにて、あざれ合へり。」
[訳]:身分の高い者も中くらいな者も低い者も、
すっかり酔っ払っ
て、たいそう不思議なことに、海のほとりで、(魚肉が腐るはずのないのに)ふざけあっている。
※「酔ひ飽く」で一語とする場合もある。