あく/開く/空く
このテキストでは、カ行四段活用の動詞「
あく/開く/空く」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「あく」には
①
明く
②開く/空く
③
飽く
などの用法があるが、ここでは「②開く/空く」について扱う。
また「開く/空く」には、
①カ行四段活用
②カ行下二段活用
の用法がある。
①カ行四段活用
未然形 | あか |
連用形 | あき |
終止形 | あく |
連体形 | あく |
已然形 | あけ |
命令形 | あけ |
■意味1:自動詞
(遮っていたものや閉じていた扉などが)
ひらく、あく。
[出典]:
かぐや姫の昇天 竹取物語
「立て籠めたる所の戸、すなはちただ
開きに開きぬ。」
[訳]:(するとかぐや姫を)閉じ込めておいた所の戸が、たちまちすべて
開いてしまいました。
■意味2:自動詞
(物忌みなどある一定の期間が)
終わりになる。
[出典]:松風 源氏物語
「今日は六日の御物忌みあく日にて...」
[訳]:今日は六日の御物忌みが終わる日なので...
■意味3:自動詞
(官職や地位に)
空きができる、欠員が生じる。
[出典]:富士川 更級日記
「この国来年あくべきにも...」
[訳]:この国(の国司の地位)に来年あきができる予定のことにつけても...
■意味4:自動詞
(空間的、時間的に)
空きが生じる、すき間が生じる。
[出典]:かぐや姫の昇天 竹取物語
「あける隙もなく守らす。」
[訳]:空いている隙間もなく守らす。
②カ行下二段活用
未然形 | あけ |
連用形 | あけ |
終止形 | あく |
連体形 | あくる |
已然形 | あくれ |
命令形 | あけよ |
■意味:他動詞
(閉じている扉などを)
あける、ひらく。
[出典]:
にくきもの 枕草子
「遣戸を、荒くたて
あくるも、いとあやし。」
[訳]:引き戸を、荒っぽく閉めたり
開けたりするのも、とてもけしからんことだ。