まうく/設く/儲く
このテキストでは、カ行下二段活用の動詞「
まうく/設く/儲く」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
カ行下二段活用
未然形 | まうけ |
連用形 | まうけ |
終止形 | まうく |
連体形 | まうくる |
已然形 | まうくれ |
命令形 | まうけよ |
■意味1:他動詞
準備する、用意する。
[出典]:
世に従はん人は 徒然草
「迎ふる気、下に
まうけたるゆゑに、待ちとるついで甚だ速し。」
[訳]:(葉が散る時機を)待ち受ける生気が、(木の)内部に
準備しているので、(葉が散るのを)待ち受け(て芽が出)る順序がとても早いのです。
■意味2:他動詞
設置する、造る、建てる。
[出典]:落窪物語
「男君もいと頼もしう、三つば四つばも設けたまひてむ。」
[訳]:男君も大変頼もしく、三棟、四棟とお建てになるでしょう。
■意味3:他動詞
(子どもや配偶者を)
得る、できる。
[出典]:
ねずみの婿とり 沙石集
「ねずみの、娘を
まうけて...」
[訳]:ねずみが、娘を
得て...
■意味4:他動詞
利益を得る、拾う。
[出典]:
これも仁和寺の法師 徒然草
「からき命
まうけて、久しく病みゐたりけり。」
[訳]:危うい命を
拾って、長い間患い続けていたのである。
■意味5:他動詞
(病気などに)
かかる。
[出典]:徒然草
「この世には過ち多く、財を失ひ、病をまうく。」
[訳]:この世には(酒の)過ちが多く、財産を失い、病気にかかる。