むせぶ/噎ぶ/咽ぶ
このテキストでは、バ行四段活用の動詞「
むせぶ/噎ぶ/咽ぶ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
バ行四段活用
未然形 | むせば |
連用形 | むせび |
終止形 | むせぶ |
連体形 | むせぶ |
已然形 | むせべ |
命令形 | むせべ |
■意味1:自動詞
むせる、咳き込む。
[出典]:
安元の大火 方丈記
「あるいは煙に
むせびて倒れ臥し、あるいは炎にまぐれてたちまちに死ぬ。」
[訳]:ある者は煙に
むせて倒れふし、ある者は炎で気を失ってすぐに死んでしまう。
■意味2:自動詞
むせび泣く。
[出典]:蜻蛉日記
「なみだにむせぶばかりにて、いひもやられず。」
[訳]:涙でむせび泣くばかりで、最後まで言うことができない。
■意味3:自動詞
むせび泣くような音をたてる。
[出典]:徒然草
「嵐にむせびし松も、千年を待たで薪にくだかれ...」
[訳]:激しい風にむせび泣くような音を立てていた松も、千年(の寿命)を待つことなく薪に砕かれてしまい...
■意味4:自動詞
(心や流れなどが)
つかえる、ひっかかる。
[出典]:朝顔 源氏物語
「遣り水もいといたくむせびて...」
[訳]:.遣水もたいそうひどく(流れが)つかえて...