伊勢物語『つくも髪』
このテキストでは、
伊勢物語の第63段『
つくも髪』(むかし、世心つける女、いかで心なさけあらむ男に〜)の品詞分解を記しています。書籍によっては「つくも髪の女」と題するものもあります。
※伊勢物語は平安時代初期に書かれた歌物語です。作者は未詳ですが、
在原業平がモデルではないかと言われています。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■むかし、世心つける女、いかで心なさけあらむ男にあひ得てしがなと思へど、いひいでむもたよりなさに、まことならぬ夢がたりをす。
むかし、 | ー |
世心つけ | カ行四段活用「せごころつく」の已然形 |
る | 完了の助動詞「り」の連体形 |
女、 | ー |
いかで | 副詞 |
心なさけ | ー |
あら | ラ行変格活用「あり」の未然形 |
む | 推量の助動詞「む」の連体形 |
男 | ー |
に | 格助詞 |
あひ | ハ行四段活用「あふ」の連用形 |
え | ア行下二段活用「う」の連用形 |
てしがな | 終助詞 |
と | 格助詞 |
思へ | ハ行四段活用「おもふ」の已然形 |
ど、 | 接続助詞 |
言ひ出で | ダ行下二段活用「いひいづ」の未然形 |
む | 推量の助動詞「む」の連体形 |
も | 係助詞 |
たよりなさ | ー |
に、 | 格助詞 |
まことなら | ナリ活用の形容動詞「まことなり」の未然形 |
ぬ | 打消の助動詞「ず」の連体形 |
夢がたり | ー |
を | 格助詞 |
す。 | サ行変格活用「す」の終止形 |
■子三人を呼びて語りけり。ふたりの子は、なさけなくいらへてやみぬ。三郎なりける子なむ、「よき御男ぞいで来む」とあはするに、この女、けしきいとよし。
子 | ー |
三人 | ー |
を | 格助詞 |
呼び | バ行四段活用「よぶ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
語り | ラ行四段活用「かたる」の連用形 |
けり。 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
二人 | ー |
の | 格助詞 |
子 | ー |
は、 | 係助詞 |
なさけなく | ク活用の形容詞「なさけなし」の連用形 |
いらへ | ハ行下二段活用「いらふ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
やみ | マ行四段活用「やむ」の連用形 |
ぬ。 | 完了の助動詞「ぬ」の終止形 |
三郎 | ー |
なり | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
子 | ー |
なむ、 | 係助詞 |
「よき | ク活用の形容詞「よし」の連体形 |
御男 | ー |
ぞ | 係助詞(係り結び) |
いでこ | カ行変格活用「いでく」の未然形 |
む。」 | 推量の助動詞「む」の連体形(係り結び) |
と | 格助詞 |
あはする | サ行下二段活用「あはす」の連体形 |
に、 | 接続助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
女 | ー |
けしき | ー |
いと | 副詞 |
よし。 | ク活用の形容詞「よし」の終止形 |
■こと人はいとなさけなし。いかでこの在五中将にあはせてしがなと思ふ心あり。
こと人 | ー |
は | 係助詞 |
いと | 副詞 |
なさけ | ー |
なし。 | ク活用の形容詞「なし」の終止形 |
いかで | 副詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
在五中将 | ー |
に | 格助詞 |
あはせ | サ行下二段活用「あはす」の連用形 |
てしがな | 終助詞 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用「おもふ」の連体形 |
心 | ー |
あり。 | ラ行変格活用「あり」の終止形 |