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枕草子 原文全集「五月ばかりなどに」

著者名: 古典愛好家
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五月ばかりなどに

五月ばかりなどに山里にありく、いとをかし。草葉も水もいとあをく見えわたりたるに、上はつれなくて、草生ひしげりたるを、ながながとただざまにいけば、下はえならざりける水の、ふかくはあらねど、人などのあゆむにはしりあがりたる、いとをかし。

左右(ひだりみぎ)にある垣にあるものの枝などの、車の屋形などにさし入るを、いそぎてとらへて折らむとするほどに、ふとすぎてはづれたるこそ、いとくちをしけれ。蓬の、車に押しひしがれたりけるが、輪のまはりたるに、ちかううちかかへたるもをかし。
        
           
              
          
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・枕草子 原文全集「五月ばかりなどに」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

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