manapedia
更新日時:
古文単語「おふ」の意味・解説
著作名: 走るメロス
3,905 views
「おふ」の意味・使用例

このテキストでは、古文単語「おふ」の意味、解説とその使用例を記している。

「おふ」には
負ふ(ハ行四段活用)
生ふ(ハ行上二段活用)
追ふ(ハ行四段活用)
④覆ふ(ハ行四段活用)
などの用法がある。

①負ふ

ハ行四段活用

意味1:自動詞

似合う、似つかわしい、釣り合う

※この用法の場合、「〜に負ふ」の形で用いられる。
[出典]:古今和歌集
「文屋康秀は、詞はたくみにて、そのさま身に負はず。」

[訳]:文屋康秀は、言葉(の使い方)は巧みであるが、その(歌の)体裁が内容に釣り合わない。


意味2:他動詞

背負う、背中にのせる、担ぐ

[出典]芥川 伊勢物語
「これは、二条の后の、いとこの女御の御もとに、仕うまつるやうにてゐ給へりけるを、かたちのいとめでたく おはしければ、盗みておひて出でたりけるを...」

[訳]:これは、二条の后が、いとこの女御のお側に、お仕え申し上げるような形で(身を寄せて)おいでになっていたのですが、(二条の后の)容貌がとても美しくていらっしゃったので、(男が二条の后を)盗んで背負って出たのですが...


意味3:他動詞

有名である、(名に)もつ

※この用法の場合、「名に負ふ」の形で用いられる。
[出典]折節の 徒然草
「花橘は名にこそ負へれ、なほ、梅の匂ひにぞ、いにしへの事も立ちかへり恋しう思ひいでらるる。」

[訳]:橘の花は(昔のことを恋しく思わせることで)有名であるが、やはり、梅の香によって、昔のことも立ち返って恋しく思いだされる。


意味4:他動詞

身に受ける、被る

[出典]桐壷 源氏物語
「朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ...」

[訳]:朝夕の宮仕えにつけても、(その女性の行動は)人の心を動揺させ、恨みを身に受けることが積もったからでしょうか...


意味5:他動詞

借金する、負債を負う

[出典]:宇治拾遺物語
「その人は、わが金を千両負ひたる人なり。」

[訳]:その人は、私の金を千両借金している人です。




②生ふ

ハ行上二段活用

意味:自動詞

生える、生い茂る、成長する

[作者]帰京 土佐日記
「今生ひたるぞ交じれる。」

[訳]:(松には)新しく生えたものがまじっている。




③追ふ

ハ行四段活用

意味1:他動詞

追いかける、後を追う

[出典]海賊の恐れ 土佐日記
「二十六日。まことにやあらむ。『海賊追ふ。』と言へば、夜中ばかり舟を出だして漕ぎ来る路に手向けする所あり」

[訳]:二十六日。(海賊が追ってくるという噂は)本当なのだろうか。「海賊が後を追う。」と言うので、夜中ぐらいに船を出して漕いでいく途中に、神仏に供え物をする所がある


意味2:他動詞

目指して行く

[出典]羽根 土佐日記
「十一日。暁に舟を出だして、室津を追ふ。」

[訳]:11日。夜明け前に船を出して、室津を目指して行く


意味3:他動詞

追い払う、追放する

[出典]:蜻蛉日記
「田守のもの追ひたる声...」

[訳]:田の番人の獣や鳥などを追い払う声が...


意味4:他動詞

先払いをする

※この用法の場合多くが、「先を追ふ」の形で用いられる。
[出典]:徒然草
「この殿大将にて、先を追はれけるを...」

[訳]:この殿が大将であって、先払いをおさせになったのを...


意味5:他動詞

先例にならう



④覆ふ

ハ行四段活用

意味:他動詞

覆う
上代の用法。「覆ふ」を参照。

このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。