おふ/追ふ
このテキストでは、ハ行四段活用の動詞「
おふ/追ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「おふ」には
①
負う(ハ行四段活用)
②
生ふ(ハ行上二段活用)
③追ふ(ハ行四段活用)
などがあるが、ここでは「③追ふ」を扱う。
ハ行四段活用
未然形 | おは |
連用形 | おひ |
終止形 | おふ |
連体形 | おふ |
已然形 | おへ |
命令形 | おへ |
■意味1:他動詞
追いかける、後を追う。
[出典]:
海賊の恐れ 土佐日記
「二十六日。まことにやあらむ。『海賊
追ふ。』と言へば、夜中ばかり舟を出だして漕ぎ来る路に手向けする所あり」
[訳]:二十六日。(海賊が追ってくるという噂は)本当なのだろうか。「海賊が
後を追う。」と言うので、夜中ぐらいに船を出して漕いでいく途中に、神仏に供え物をする所がある
■意味2:他動詞
目指して行く。
[出典]:
羽根 土佐日記
「十一日。暁に舟を出だして、室津を
追ふ。」
[訳]:11日。夜明け前に船を出して、室津を
目指して行く。
■意味3:他動詞
追い払う、追放する。
[出典]:蜻蛉日記
「田守のもの追ひたる声...」
[訳]:田の番人の獣や鳥などを追い払う声が...
■意味4:他動詞
先払いをする。
※この用法の場合多くが、「先を追ふ」の形で用いられる。
[出典]:徒然草
「この殿大将にて、先を追はれけるを...」
[訳]:この殿が大将であって、先払いをおさせになったのを...
■意味5:他動詞
先例にならう。