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大鏡『雲林院の菩提講(誰も、少しよろしき者どもは〜)』の現代語訳・解説 |
著作名:
走るメロス
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大鏡『雲林院の菩提講』
このテキストでは、大鏡の一節『雲林院の菩提講(誰も、少しよろしき者どもは〜)』の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。
※大鏡は平安時代後期に成立したとされる歴史物語です。藤原道長の栄華を中心に、宮廷の歴史が描かれています。
原文(本文)
誰も、少しよろしき者どもは、見おこせ、居寄りなどしけり。年三十ばかりなる侍めきたる者の、せちに近く寄りて、
「いで、いと興あること言ふ老者たちかな。さらにこそ信ぜられね。」
と言へば、翁二人見かはしてあざ笑ふ。繁樹と名のるが方ざまに見やりて、
「『いくつといふこと覚えず。』
といふめり。この翁どもは覚えたぶや。」
といふめり。この翁どもは覚えたぶや。」
と問へば、
「さらにもあらず。一百九十歳にぞ、今年はなり侍りぬる。されば、繁樹は百八十におよびてこそさぶらふらめど、やさしく申すなり。おのれは水尾の帝のおりおはします年の、正月の望の日生まれて侍れば、十三代にあひたてまつりて侍るなり。けしうはさぶらはぬ年なりな。まことと人思さじ。されど、父が生学生に使はれたいまつりて、
『下﨟なれども都ほとり』と言ふことなれば、目を見たまへて、産衣に書き置きて侍りける、いまだ侍り。丙申の年に侍り。」
『下﨟なれども都ほとり』と言ふことなれば、目を見たまへて、産衣に書き置きて侍りける、いまだ侍り。丙申の年に侍り。」
と言ふも、げにと聞こゆ。
現代語訳(口語訳)
誰でも、いくらかよい(身分の)者は(この話がどれだけ昔のことであるかわかるので)、こちらの方を見たり、膝を進めて(老人たちの)近くに寄ったりしました。三十歳ぐらいの侍らしく見える者が、ひたすらに(老人たちの)近くに寄って
「まぁ、大変面白いことを言う老人たちだな。少しも信じることができない。」
と言ったので、おじいさん達二人は、顔を見合わせて高笑いをしています。(侍が)繁樹と名乗る(老人の)方に目を向けて、
「『何歳かということを覚えていない。』
とおっしゃいますね。こちらのご老人は覚えていらっしゃいますか。」
とおっしゃいますね。こちらのご老人は覚えていらっしゃいますか。」
と尋ねると、
「言うまでもありません。百九十歳に、今年なりました。ですので、繁樹は百八十歳になっておりましょうが、慎ましやかに(何歳か覚えていないと)申し上げるのです。私は水尾の帝が退位なさる年の正月の望の日に生まれていますので、(水尾の帝から数えて)十三代の天皇にお会い申し上げています。そう悪くはない年です。世の人は本当のことだとは思わないでしょう。しかし、父親が大学寮に学ぶ若い学生に使われておりまして、
『身分の低い者であっても都付近に住む者は見聞が広くなる』」
という通り、文字の読み書きができまして、産衣に(自分の生まれた日を)書き置いたものがまだあります。丙申の年です。」
『身分の低い者であっても都付近に住む者は見聞が広くなる』」
という通り、文字の読み書きができまして、産衣に(自分の生まれた日を)書き置いたものがまだあります。丙申の年です。」
と言うので、なるほどと思われます。
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