おほふ/覆ふ/被ふ
このテキストでは、ハ行四段活用の動詞「
おほふ/覆ふ/被ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
ハ行四段活用
未然形 | おほは |
連用形 | おほひ |
終止形 | おほふ |
連体形 | おほふ |
已然形 | おほへ |
命令形 | おほへ |
■意味1:他動詞
上から覆いかぶせる。
[出典]:
竹取物語
「玉の枝をば長櫃に入れて、物
おほひて持ちて参る。」
[訳]:玉の枝は長櫃にいれて、物で
覆って持って参上します。
■意味2:他動詞
包み隠す。
[出典]:平家物語
「小瑕をもってその功をおほふことなかれ。」
[訳]:わずかな欠点を理由にその功績を包み隠してはならない。
■意味3:他動詞
広く行き渡らせる。
[出典]:太平記
「威をあまねく海内におほひしかども...」
[訳]:権威を残すところなく国内に広く行き渡らせましたが...
おしおほふ
接頭語「おし」をつけて、「おしおほふ/押し覆ふ」という言葉もある。その場合の活用は以下のとおり。(ハ行四段活用)
未然形 | おしおほは |
連用形 | おしおほひ |
終止形 | おしおほふ |
連体形 | おしおほふ |
已然形 | おしおほへ |
命令形 | おしおほへ |
[出典]:
宇治拾遺物語
「家の隣より火出で来て、風
おしおほひてせめければ...」
[訳]:家の隣から火が発生して、風が(火に)
おおいかぶさって(火が)せまってきたので...