論語とは
『論語』とは、中国の賢者である孔子とその弟子たちの言動を記した文献であり、儒教の経典のひとつです。本書は倫理、道徳、政治、教育に関する内容を論じております。
この古典は紀元前5世紀から紀元前3世紀にかけて編纂され、合計20篇から成り立っています。各篇には孔子の言葉や対話、興味深い逸話などが簡潔に記されていますが、その意味や背景には深い多様性があります。これゆえ、後世においても多くの注釈や解釈が生み出されてきました。
『論語』は中国に限らず、日本や朝鮮半島などでも広く知られ、東アジアの文化や思想に大きな影響を与えてきました。
日本では古代から『論語』の学習が行われ、江戸時代には朱子学が隆盛を迎えました。朱子学においては、『論語』は四書の一つとして重要視されました。四書には、『論語』の他にも孟子・大学・中庸が含まれており、これらの書物が儒教の基本的な教えを示すものとされました。
近代以降、西洋文化の影響を受けた日本では、『論語』の価値が再評価される一方で、批判も受けることとなりました。
現代では、『論語』に含まれる知恵や教訓がビジネスや人生に有益であるとして、多くの人々に注目されています。
論語には多くの名言や格言があります。例えば、「己を知る者は、己を好む者に如かず」(自分を知っている人は自分を好きな人よりも劣らない)、「温故知新」(古いことをよく探求して現代に応用できるものを知る)、「仁者人を憂う」(仁(人間愛)の心を持った人は他人の苦しみを自分のことのように心配する)などです。これらの言葉は今でも私たちに教えてくれることが多いです。
このテキストでは論語の中から、論語 為政第二 10~12を解説します。
論語 為政第二 10~12【原文】
10:子曰、視其所以、観其所由、察其所安、人焉捜哉、人焉捜哉。
11:子曰、温故而知新、可以為師矣。
12:子曰、君子不器。
【書き下し文】
10:子曰く、その以す所を視、その由る所を観、その安んずる所を察すれば、人焉んぞ捜さんや、人焉んぞ捜さんや。
11:子曰く、故きを温ねて新しきを知る、以って師と為るべし。
12:子曰く、君子は器ならず。
【現代語訳】
10:孔子がおっしゃいました。「人は行動を見られ、その行動の原因を考察され、何に満足しているかを知られれば、人はその本性を隠すことはできません」と。
11:孔子はおっしゃいました。「古くからの伝えを大切にして、新しい知識を得て行くことができれば、人を教える師となることができるでしょう。」と。
12:孔子はおっしゃいました。「君子は、器では図ることができない」と。