論語とは
「論語」という文献は、中国の哲学者孔子とその優れた弟子たちの言動を収録した、極めて価値ある書物です。この著作は、儒教の中でも重要な位置を占め、儒学の「四書」としても知られています。
「論語」は、合計20篇から成り立っており、各篇は孔子とその弟子たちとの対話や、実際の行動に関する記録で構成されています。この文献を通じて、孔子の教えや人物像、そして彼の弟子たちの個性や学び方が鮮明に描かれています。その内容は、実際の生活に適用可能な倫理観や知恵、道徳的な原則が充実しています。
「論語」は、孔子の没後、彼の弟子たちによって編纂されたとされていますが、その成立過程や編者については多くの論争が存在します。漢代には「魯論」や「斉論」、「古論」といったさまざまなテキストが存在していましたが、後に後漢時代の鄭玄がこれらを統合し、現在の「論語」の本文が確定しました。
この文献は、漢代から儒教の中で高く評価され、宋代以降は科挙(中国の官僚試験)の試験科目としても重要な位置を占めました。また、日本でも古くから伝承され、多くの注釈書や解釈が著されました。さらには西洋でも翻訳され、広く読まれました。
「論語」は、春秋時代の思想家孔子と彼の弟子、そして再伝弟子たちによって記された言論の集大成と言えるでしょう。これは、儒教の中でも重要な教典の1つであり、孔子の思想、政治的な立場、倫理観念、教育原則などが綿密に記録されています。この文献は、中国の歴史と文化に深い影響を与えたと言える孔子の教えの一端を窺い知ることができる貴重な資料です。
このテキストでは、そんな論語から論語 為政第二 4~5を解説します。
論語 為政第二 4~5【原文】
4:子曰、吾十有五而志于学、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而従心所欲不踰矩。
5:孟懿子問孝、子曰、無違、樊遅御、子告之曰、孟孫問孝於我、我対曰無違、樊遅曰、何謂也、子曰、生事之以礼、死葬之以礼、祭之以礼。
【書き下し文】
4:子曰く、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰えず(こえず) 。
5:孟懿子(もういし)、孝を問う。子曰く、違うことなかれ。樊遅(はんち)、御たりしとき、子之に告げて曰く、孟孫我に孝を問いしかば、我対えて違うなかれと曰えり。樊遅曰く、何の謂(いい)ぞや。子曰く、生けるときはこれに事うるに礼を以ってし、死せるときはこれを葬るに礼を以ってし、これを祭るに礼を以ってすべし。
【現代語訳】
4:孔子はおっしゃいました。「私は十五歳のときに学問を志し始めました。三十歳にして独り立ちをし、四十歳で迷うことがなくなりました。五十歳のときに天命を理解し、六十歳のときに人の意見を素直に聞けるようになりました。七十歳の時にやっと自分の思うままに行動をしても人の道を踏み外すことがなくなりました。」と。
5:孟懿子が、孝について孔子に尋ねました。孔子は「違えないようにすることです。」とおっしゃいました。ちょうどその時に、樊遅が山車を持ってきたので、孔子は彼に孟懿子が孝について質問をしてきたので、違えないようにすることだと説いた旨を伝えました。
樊遅が「それはどういうことでしょうか?」と尋ねるので「親が生きているときには礼をつくし、亡くなった際には礼に従って葬り、礼をもって祭ることですよ」と説きました。