「とむ」の意味・使用例
このテキストでは、古文単語「とむ」の意味、解説とその使用例を記している。
「とむ」には
①
尋む/求む/覓む(マ行下二段活用)
②
止む/留む/停む(マ行下二段活用)
などの用法がある。
①尋む/求む/覓む(マ行下二段活用)
■意味:他動詞
探し求める、尋ね求める。
[出典]:猟師仏を射ること 宇治拾遺物語
「夜明けて、血をとめて行きて見れば...」
[訳]:夜が明けて、血の跡を探して行って見ると...
②止む/留む/停む(マ行下二段活用)
■意味1:他動詞
止める、制止する、行かせないようにする。
[出典]:
藤原定家 新古今和歌集
「駒とめて 袖うちはらふ かげもなし 佐野のわたりの 雪の夕暮」
[訳]:馬をとめて、袖(に積もった雪)を払い落とすような物影すらない。佐野の渡し場の雪の夕暮れどきよ。
■意味2:他動詞
後に残す、とどめる、受け止める。
[出典]:頭の弁の御もとより 枕草子
「ただとめてなむ食ひはべる。」
[訳]:ただ受け止めて食べるだけです。
■意味3:他動詞
「心をとむ」、「目をとむ」の形で
注目する、関心する、目をつける。
[出典]:葵 源氏物語
「いとまばゆきまでねびゆく人の容貌かな。神などは目もこそとめたまへ。」
[訳]:たいそう眩しいほどに成長して大人になっていくご器量であることよ。神などが目をつけなさる(と大変だ)。
■意味4:他動詞
船を停泊させる、人を宿泊させる。