現代語訳/解説/品詞分解
駒とめて 袖うちはらふ かげもなし 佐野のわたりの 雪の夕暮
このテキストでは、
新古今和歌集に収録されている歌「
駒とめて袖打ち払ふ陰もなし 佐野のわたりの雪の夕暮れ」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れ・本歌取り・体言止めなど)そして品詞分解を記しています。
新古今和歌集とは
新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)は、鎌倉時代初期に編纂された勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)です。勅撰和歌集とは、天皇や上皇の命令により編集された和歌集のことです。
原文
駒とめて 袖打ち払ふ 陰もなし 佐野のわたりの 雪の夕暮れ
ひらがなでの読み方
こまとめてそでうちはらふそでもなし さののわたりのゆきのゆふぐれ
現代語訳(口語訳)
馬をとめて、袖(に積もった雪)を払い落とすような物影すらない。佐野の渡し場の雪の夕暮れどきよ。
主な技法・単語・文法解説
■詠み手
この歌の詠み手は、
藤原定家(ふじわら の さだいえ/ていか)です。小倉百人一首の撰者として知られます。
■単語
| 駒 | 馬のこと |
| かげ | 袖(についたゆき)を振り払う物影 |
| 佐野のわたり | 佐野は「佐野」という地名を表し、わたりは「辺り」または船の渡し場を意味する「渡り」とする説がある |
■句切れ
三句切れ。
■本歌取り
この歌は、万葉集の
苦しくも 降り来る雨か 三輪(みわ)の崎 狭野(さの)の渡りに 家もあらなくに
という歌をもとにしたものです。すでにある歌をオマージュに新しい歌を詠む技法を
本歌取りといいます。
■体言止め
「夕暮れ」で終わっていることから
体言止めも用いています。体言止めとは、和歌を名詞(体言)で締めくくる技法をいいます。
品詞分解
※名詞は省略してあります。
| 駒 | ー |
| とめ | マ行下二段活用「とむ」の連用形 |
| て | 接続助詞 |
| 袖 | ー |
| うちはらふ | ハ行四段活用「うちはらふ」の連体形 |
| かげ | ー |
| も | 係助詞 |
| なし | 形容詞・ク活用「なし」の終止形 |
| 佐野 | ー |
| の | 格助詞 |
| わたり | ー |
| の | 格助詞 |
| 雪 | ー |
| の | 格助詞 |
| 夕暮れ | ー |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。