百人一首(84)藤原清輔朝臣俊成/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方
ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
このテキストでは、
百人一首に収録されている歌「
ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に新古今和歌集にも収録されています。
百人一首とは
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・
藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、
小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。
暗記に役立つ百人一首一覧
以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。
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暗記に役立つ百人一首一覧
原文
ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
ひらがなでの読み方
ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき
現代語訳
(これから)長く生きるのならば、また(つらいと思っている)今のことも懐かしく思うのだろうか。つらいと思った昔のことが、今は懐かしく思われることだ。
解説・鑑賞のしかた
この歌の詠み手は、平安時代後期の公家
藤原清輔(ふじわら の きよすけ)です。百人一首では、
藤原清輔朝臣(ふじわら の きよすけあそんとして収録されています。
百人一首の79首目の歌を詠んだ
藤原顕輔の次男ですが、父とは折り合いが悪く、出世コースからは外され、若い頃は不遇な扱いを受けていました。そのような過去があったからでしょうか。
「昔つかったことも今では懐かしく思える。だからいまつらいことも、長く生きていればそのうち懐かしく思えるようになるのだろう」
自分の実体験があるからこそ、強く訴えるものを感じますね。
主な技法・単語・文法解説
■句切れ
三句切れ。
品詞分解
※名詞は省略しています。
ながらへ | ハ行下二段活用「ながらふ」の未然形 |
ば | 接続助詞 |
また | 副詞 |
このごろ | ー |
や | 係助詞・係り結び |
しのば | バ行四段活用「しのぶ」の未然形 |
れ | 自発の助動詞「る」の未然形 |
む | 推量の助動詞「む」の連体形・係り結び |
憂し | ク活用の形容詞「うし」の終止形 |
と | 格助詞 |
見 | マ行上一段活用「みる」の連用形 |
し | 過去の助動詞「き」の連体形 |
世 | ー |
ぞ | 係助詞・係り結び |
今 | ー |
は | 係助詞 |
恋しき | シク活用の形容詞「こひし」の連体形・係り結び |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。