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高校古文『忘れ貝拾ひしもせじ白玉を恋ふるをだにも形見と思はむ』わかりやすい現代語訳と品詞分解

著者名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、土佐日記に収録されている歌「忘れ貝拾ひしもせじ白玉を恋ふるをだにも形見と思はむ」の原文、現代語訳・口語訳と解説、そして品詞分解を記しています。



収録されている箇所は、土佐日記の「四日。楫取り、『今日、風雲のけしきはなはだ悪し』と言ひて〜」から始まる一節(二月四日/忘れ貝)です。

※土佐日記は平安時代に成立した日記文学です。日本の歴史上おそらく最初の日記文学とされています。作者である紀貫之が、赴任先の土佐から京へと戻る最中の出来事をつづった作品です。
原文

忘れ貝拾ひしもせじ白玉を恋ふるをだにも形見と思はむ

ひらがなでの読み方

わすれがひひろひしもせじしらたまをこふるだにもかたみとおもはむ



現代語訳

忘れ貝は決して拾うまい。せめて白玉(のようにかわいいあの子)を恋しく思うだけでも、(あの子の)形見と思いましょう。

解説

紀貫之が著した土佐日記には、この歌が詠まれた場面が詳しく記されています。

土佐から京へと戻る船旅の途中、天候不良のために足止めをされます。停泊していた港の浜辺には、子どもの喜びそうな様々な種類の美しい貝や石などがたくさんある落ちていました。これを見た紀貫之の妻が、土佐で亡くなった我が子のことを恋しく思い詠んだ歌が「寄する波うちも寄せなむわが恋ふる人忘れ貝降りて拾はむ」です。



忘れ貝とは、拾うと恋を忘れることができると信じられていた二枚貝のことです。「亡くなった我が子を思うと辛いので忘れさせてほしい」という悲痛な思いをこの歌から感じることができます。

そしてこの歌を聞いた紀貫之が詠んだ歌が「忘れ貝拾ひしもせじ白玉を恋ふるをだにも形見と思はむ」です。忘れ貝を拾うことは、亡くなった我が子のことを忘れてしまうということです。忘れ貝を拾わずに思い続けることが亡くなった我が子の形見となるのだ、という紀貫之の気持ちが表れています。

品詞分解

※名詞は省略しています。



忘れ貝
拾ひハ行四段活用「ひろふ」の連用形
しも副助詞
サ行変格活用「す」の未然形
打消意志の助動詞「じ」の終止形
白珠
格助詞
恋ふるハ行上二段活用「こふ」の連体形
格助詞
だにも連語、または副助詞「だに」+係助詞「も」
形見
格助詞
思はハ行四段活用「おもふ」の未然形
意志の助動詞「む」の終止形

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