「かく/掻く」の意味・活用・使用例【カ行四段活用】
このテキストでは、古文単語「
かく/掻く」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
動詞「かく」には
①
欠く
②
駆く/駈く
③
舁く
④
掛く/懸く
⑤掻く
などの用法があるが、ここでは「⑤掻く」を扱う。
カ行四段活用
未然形 | かか |
連用形 | かき |
終止形 | かく |
連体形 | かく |
已然形 | かけ |
命令形 | かけ |
■意味1:他動詞
ひっかく、かきむしる。
[出典]:万葉集
「眉根かき鼻ひ...」
[訳]:眉をひっかきくしゃみをして...
■意味2:他動詞
(くしで髪を)
すく。
[出典]:須磨 源氏物語
「御鬢かき給ふとて、鏡台に寄りたまへるに...」
[訳]:髪をおすきになるということで、鏡台にお寄りになったところ...
■意味3:他動詞
(刀などの刃物で)
切り取る、削り取る。
[出典]:敦盛最期 平家物語
「取って押さへて頸をかかんと甲を押し...」
[訳]:取り押さえて首を切り取ろうと兜を押し上げて...
■意味4:他動詞
払いのける、手で払う。
[出典]:
うつくしきもの 枕草子
「頭は尼そぎなるちごの、目に髪のおほへるを
かきはやらで、うちかたぶきてものなど見たるも、うつくし。」
[訳]:髪型を尼のように肩の高さで切りそろえた髪型である子どもが、目に髪がかぶさっているのを
払いのけることもしないで、首をかしげて何かを見ているのなども、かわいらしい。
■意味5:他動詞
(食べ物を)
急いで食べる、かきこむ。
[出典]:猫間 平家物語
「猫殿...かき給へ。」
[訳]:猫殿...かきこみください。
■意味6:他動詞
弦楽器を弾く。
[出典]:若菜上 源氏物語
「かき合はせたまはむ御琴の音も...」
[訳]:合奏なさるお琴の音色も...
■意味7:他動詞
とりすがる。