ならひ/習ひ
このテキストでは、古文単語「
ならひ/習ひ」の意味、解説とその使用例を記している。
名詞
■意味1
習慣、慣例、くせ。
[出典]:
花は盛りに 徒然草
「花の散り、月の傾くを慕ふ
ならひはさることなれど、ことにかたくななる人ぞ、『この枝かの枝、散りにけり。今は見どころなし。』などは言ふめる。」
[訳]:花が散り、月が(西に)沈みかけるのを(惜しみ)慕う
習慣はもっともなことではあるが、とりわけものの趣を理解しない人は、「この枝も、あの枝も、散ってしまって、今は見る価値ががない。」などと言うようだ。
■意味2
世の常、世の定め、風習。
[出典]:
ゆく川の流れ 方丈記
「朝に死に、夕べに生まるる
ならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。」
[訳]:朝に(人が)死に、夕方に(人が)生まれるという
世の定めは、ちょうど水の泡に似ていることよ。
■意味3
由緒、古くからの言い伝え。
[出典]:
丹波に出雲といふ所あり 徒然草
「この御社の獅子の立てられ様、定めて
習ひある事に侍らん。ちと承らばや。」
[訳]:この神社の獅子の立てられ方は、きっと
由緒があることでございましょう。ちょっとお聞きしたいものです。