やがて/軈て/頓て
このテキストでは、古文単語「
やがて/軈て/頓て」の意味、解説とその使用例を記している。
副詞
■意味1
そのまま、引き続き。
[出典]:
世に従はん人は 徒然草
「春は
やがて夏の気をもよほし、夏より既に秋は通ひ...」
[訳]:春は
そのまま夏の気配を誘い、夏の間からももう秋(の気配)が通いだし...
■意味2
まるで、さながら、そっくりそのまま。
[出典]:牛は 枕草子
「牛は、額はいと小さく白みたるが、腹の下、足、尾の筋などは、やがて白き。」
[訳]:牛は、額にとても小さい白い(毛がある)もので、腹の下、足、尾の毛筋などは、そっくりそのまま白い(のがよい)
■意味3
すなわち、ほかでもなく。
[出典]:宮の五節出ださせたまふに 枕草子
「いま二人は女院・淑景舎(しげいさ)の人、やがてはらからどちなり。」
[訳]:あとの二人は女院と淑景舎の人で、すなわち姉妹の間柄です。
■意味4
すぐさま、ただちに。
[出典]:
名を聞くより 徒然草
「名を聞くより、
やがて面影は推し量らるる心地するを...」
[訳]:名前を聞くやいなや、
ただちに(その人の)顔つきは自然と推察されるような気がするが...
■意味5
そのうちに、まもなく。
[出典]:
那須野 奥の細道
「
やがて人里に至れば、あたひを鞍つぼに結びつけて馬を返しぬ。」
[訳]:
まもなく人里についたので、代金を馬鞍に結び付けて馬を返した。