はじめに
古典を読んでいると、どのような衣装を身にまとっているのかがよく記されています。これは、当時は身分によって身につけられる物が厳しく制限されていたために、衣装を記すことでその人物がどれほどの位にある人なのかを暗示できたからです。
つまり、この衣装に関する言葉をおさえておくことは非常に大切なことなんですね。
束帯(そくたい)
正装として最も格式の高い衣装が
束帯と呼ばれるものです。歴史ドラマなどで、公家の人たちが身につけているのを記憶している人も多いかもしれません。
写真のように「
冠」をかぶって、「
しゃく」(おじゃるまるが持っているやつ)を持ち歩きます。
直衣(のうし)
「のうし」の読ませ方は過去に大学受験の問題で出されたことがありますので、押さえておきましょう。直衣はいわゆる、
上級貴族の普段着にあたります。
束帯では冠をかぶるのがルールでしたが、直衣の場合には
烏帽子(えぼし)をかぶり、指貫(さしぬき)とよばれる、だぼっとしたパンツをはきます。
狩衣(かりぎぬ)
直衣が上級貴族の普段着ならば、では下級貴族(正確には6位以下の貴族)の人たちはふだん、どのような衣装を着ていたのでしょうか。それが、
狩衣と呼ばれるものです。
(※貴族の位については「古典での役職のランキング」というテキストで詳しくかいていますので、興味のある方はそちらを参照してみてください。)
ちなみにこの衣装は、上級貴族にとってはスポーツをするときの衣装になります。この時代のスポーツと言えば、そう!
蹴鞠(けまり)ですね。
直垂(ひたたれ)
直垂とは、狩衣を正装とする者よりもさらに身分の低い人たちの正装です。