「からし/辛し」の意味・活用・使用例【形容詞ク活用】
このテキストでは、ク活用の形容詞「
からし/辛し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容詞・ク活用
未然形 | からく | からから |
連用形 | からく | からかり |
終止形 | からし | ◯ |
連体形 | からき | からかる |
已然形 | からけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | からかれ |
■意味1
(味が)
辛い、塩辛い。
[出典]:万葉集
「志賀の海人の火気焼き立てて焼く塩の辛き恋をも我はするかも」
[訳]: 志賀の海人が煙をたてて焼く塩が辛いように、つらい恋を私はすることですよ
■意味2
ひどい、むごい。
[出典]:明石 源氏物語
「身のためからき目を見るをりをりも多くはべれど...」
[訳]:私にとってもひどい目に遭うことも多くございますが...
■意味3
つらい、切ない、苦しい。
[出典]:少女 源氏物語
「浅葱をいとからしと思はれたるが、心苦しうはべるなり。」
[訳]:浅葱(色を着なければならない身分であること)を非常につらいとお思いになっているのが、気の毒でございます。
■意味4
気にくわない、嫌だ。
[出典]:虫めづる姫君 堤中納言物語
「からしや。眉はしも、鳥毛虫だちためり。」
[訳]:嫌だわ。眉といったら、毛虫めいて見える。
■意味5
危うい、あぶない。
[出典]:
これも仁和寺の法師 徒然草
「
からき命まうけて、久しく病みゐたりけり。」
[訳]:
危うい命を拾って、長い間病床についていたのである。
■意味6
はなはだしい、並々でない。
備考
※
「つらし/辛し」の意味