わづかなり/僅かなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
わづかなり/僅かなり」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | わづかなら | ◯ |
連用形 | わづかなり | わづかに |
終止形 | わづかなり | ◯ |
連体形 | わづかなる | ◯ |
已然形 | わづかなれ | ◯ |
命令形 | わづかなれ | ◯ |
■意味1
(数量や程度が)
少ない、わずかだ、たった。
[出典]:
方丈記 鴨長明
「所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、
わづかにひとりふたりなり。」
[訳]:場所は変わらず、人も多いが、(私が)過去会った(ことのある)人は、2,30人のうち、
わずかに1人か2人である。
[出典]:
徒然草 兼好法師
「
わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろそかにせんと思はんや。」
[訳]:
たった二本の矢を、師匠の前でその一本をおろそかにしようと思うでしょうか、いや思わないでしょう。
■意味2
みずぼらしい、貧弱だ、貧しい。
[出典]:奥の細道 松尾芭蕉
「浜はわづかなる海士の小家にて、侘しき法花寺あり。」
[訳]:浜にはみすぼらしい漁師の小さな家が並び、貧相な法華宗の寺がある。
■意味3
やっと、かろうじて。
※この用法の場合、「わづかに」の形で用いられる。
[出典]:枕草子 清少納言
「孟嘗君の鶏は、函谷関を開きて、三千の客わづかに去れり。」
[訳]:孟嘗君の鶏は、函谷関を開いて、三千名の食客とともにかろうじて逃げた。