史記『背水之陣』
このテキストでは、司馬遷が著した史記の一節『
背水之陣(未至井陘口三十里止舎〜)』の原文(白文)、書き下し文、現代語訳(口語訳)とその解説を記しています。
※
十八史略のものとは異なるので注意してください。
白文(原文)
未至井陘口三十里止舎。
夜半伝発、選軽騎二千人、人持一赤
幟、従
間道萆山而望趙軍。
誡曰、
「趙見我走、必空壁逐我。
若疾入趙壁、抜趙幟、立漢赤幟。」
令其裨将伝飧曰、
「今日破趙会食。」
諸将皆莫信、詳応曰、
「諾。」
謂軍吏曰、
「趙已先拠便地為壁。
且彼未見吾大将旗鼓、未肯撃前行。
恐吾至阻険而還。」
信乃使万人先行、出背水陳。
趙軍望見而大笑。
つづく:
史記『背水之陣(平旦、信建大将之旗鼓〜)』現代語訳(口語訳)・書き下し文とその解説
書き下し文
未だ井陘(せいけい)の口に至らざること三十里にして止まり舎す。
夜半に伝発し、軽騎二千人を選び、人ごとに一赤幟を持ち、間道より山に萆(かく)れて趙の軍を望ましむ。
誡めて曰はく、
「趙我が走(に)ぐるを見るや、必ず壁を空しくして我を逐はん。
若疾く趙の壁に入り、趙の幟を抜き、漢の赤幟を立てよ。」と。
其の裨将をして飧を伝へしめて曰はく、
「今日趙を破りて会食せん。」と。
諸将皆信ずる莫けれど、詳(いつは)り応へて曰はく、
「諾。」と。
軍吏に謂ひて曰はく、
「趙已に先(ま)づ便地に拠り壁を為(つく)る。
且つ彼未だ吾が大将の旗鼓を見ざれば、未だ前の行を撃つことを肯(がへ)んぜざらん。
吾阻険に至りて還(かへ)らんことを恐るればなり。」と。
信乃ち万人をして先行し、出でて水を背にして陳せしむ。
趙の軍望み見て大いに笑ふ。
つづく:
史記『背水之陣(平旦、信建大将之旗鼓〜)』現代語訳(口語訳)・書き下し文とその解説
■次ページ:現代語訳(口語訳)と単語・文法解説