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蜻蛉日記原文全集「今日かかる雨にもさはらで」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

今日、かかる雨にもさはらで

今日、かかる雨にもさはらで、おなじところなる人ものへまうでつ。さはることもなきにとおもひていでたれば、ある者

「女神には衣(きぬ)ぬひてたてまつるこそよかなれ。さしたまへ」


とよりきてささめけば、

「いで、心みむかし」


とて、かとりのひひな衣三つぬひたり。下交(したか)ひどもにかうぞかきたりけるは、いかなる心ばへにかありけん、神ぞしるらんかし。

しろたへのころもはかみにゆづりてむ へだてぬ中にかへしなすべく

また、

からころもなれにしつまをうちかへし わがしたがひになすよしもがな

又、

なつごろもたつやとぞみるちはやぶる かみをひとへにたのむみなれば

暮るればかへりぬ。


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・蜻蛉日記原文全集「今日かかる雨にもさはらで」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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